約200kgの軽トラ荷台を1人で降ろす|単管パイプ×電動ウインチで作った自作簡易ホイスト|アトム動力研究所

Lab 04 ホイスト研究室 ─ 約200kgの軽トラ荷台を1人で降ろす。単管パイプで作り、電動ウインチで吊り上げる前後左右に動く簡易ホイスト
Lab 04 / ホイスト研究室

人を集めて「せーの」を、
やめました。

作業場の鉄骨と単管パイプ、電動ウインチを組み合わせて簡易ホイストを作りました。荷台を吊り上げてから軽トラだけを前に抜く。それだけのことですが、1人で完結します。

単管パイプで組んだホイストから、軽トラの荷台がチェーンで吊り上げられ、車体から完全に浮いている状態
チェーンで吊られているのが荷台。車体側に残っているのはシャシーとタイヤだけです。
Load
軽トラ荷台 約200kg
Lift
電動ウインチ(100V)
Position
X・Y方向は手動
第 1 章

なぜ1人で降ろせるのか

種を明かすと、拍子抜けするくらい単純です。荷台を持ち上げるのではなく、荷台を吊っておいて、車のほうを抜く。それだけです。荷台を運ぶ必要がないので、力も人数も要りません。

① 吊り上げる 荷台にチェーンを掛ける ② 車だけ前へ 荷台は宙に残したまま ③ 荷台だけ残る 1人で完了 運ばない
荷台を「運ぶ」工程が無いのがポイントです。持ち上げるのはウインチ、移動するのは車。人間がやるのは、チェーンを掛けることとスイッチを押すことだけになります。
軽トラの荷台が単管パイプのホイストで1人で吊り上げられている様子

「せーの」が要らなくなった

今までは人を集めて、声を合わせて持ち上げていました。予定を合わせるだけで数日かかることもある。その段取りが、まるごと不要になりました。

しかも、人が荷重を受けている時間がゼロになります。持ち上げた状態で位置を直すのが一番危ない工程だったので、そこが消えたのは大きい。

思い立ったときに、1人で始められる。実際に使ってみて一番ありがたいのは、力の話よりこちらでした。

Before

人を集めて持ち上げる

予定を合わせて何人かに来てもらい、「せーの」で持ち上げて降ろす。段取りに時間がかかり、腰にも来ます。しかも持ち上げた状態で位置を微調整するのが一番危ない。

After

吊っておいて、車を抜く

荷台を宙に留めておけば、あとは車を前に出すだけ。荷重を人が受けている時間がありません。思い立ったときに1人で始められるのが、実際には一番大きい違いでした。

Point

電動なのは上下だけ

前後左右の位置合わせは手で動かします。凝った機構にしないほうが、壊れる場所が減る。電気が要るのはウインチだけ、という割り切りです。

第 2 章

車を合わせるのではなく、
ホイストを車に合わせる

この設備で一番効いているのが、ここです。ウインチ部分そのものが前後(X)と左右(Y)に手で動かせるようになっています。簡易的なXYホイスト、といった構造です。

切り返さなくていい

吊り位置の真下にぴたりと車を入れるのは、思っている以上に難しい作業です。バックで入れて、降りて確認して、また乗って直して。これを何度も繰り返すのが、実は一番時間を食っていました。

ウインチが動くようになってからは、多少ずれた位置に停めても構いません。車はそのまま、ホイストのほうを寄せる。発想を逆にしただけですが、段取りの時間がはっきり減りました。

吊り位置が合っていないと、荷台が傾いたり、思わぬ方向に振れたりします。位置合わせは効率の話であると同時に、安全の話でもあります。

上から見た図 鉄骨梁 W 手で動かす 荷台 多少ずれて停めてOK
ウインチが動くので、車は「だいたいの位置」で止めれば足ります。上下は電動、前後左右は手動。
第 3 章

構造 ── 何をどう組んだか

作業場の鉄骨を土台にして、そこへ単管パイプを渡しています。単管を選んだのはクランプで自由に組めて、後から足せるからです。作業場の形に合わせて、必要なところだけ組めます。

部位使ったもの役割
土台作業場の鉄骨梁荷重を最終的に受ける部分。ここの強度がすべての前提になります
渡し単管パイプ 約2.2m鉄骨の間に渡して、ウインチが移動する軌道になります
補強追加の単管パイプ曲げとたわみへの対策。1本で渡しただけでは不安が残るため追加しています
吊り側短い単管パイプウインチを取り付ける側。ここが前後左右に動きます
接合単管クランプ(直交・自在)組み替えができる代わりに、締め付けと定期点検が命になります
昇降電動ウインチ(100V)上下動。三相の電源工事が要らないのが実際的でした
吊り具チェーン・フック類荷台を掛ける部分
鉄骨から屋根方向へ立ち上げた単管パイプに、電動ウインチが吊り下げられている全体の様子
鉄骨から単管を立ち上げて、そこにウインチを吊っています。クランプで組んでいるので、位置を変えたくなったら組み替えられる。これが単管を選んだ理由です。
電動ウインチ本体とワイヤーの掛かり方、手元スイッチのコードが見える近接写真
ウインチまわりを近くで。ドラムへのワイヤーの巻かれ方と、手元スイッチのコードが見えます。ワイヤーが端に寄って巻かれていないかは、使う前に毎回ここを見て確認します。
⚠ 「何kgまで大丈夫」とは書けません

これはアトムテックが自分の作業場・自分の用途に合わせて組んだ自作設備です。同じ材料で同じように組めば同じ荷重に耐える、という保証はどこにもありません。

吊り上げの強度は、単管だけでも、クランプだけでも、ウインチだけでも決まりません。鉄骨・単管・クランプ・ウインチ・チェーン・フック、そのすべてを1つの系として考える必要があります。一番弱いところが全体の限界になります。

このページは「約200kg前後と思われる軽トラ荷台を実際に吊った」という実例の紹介です。数値の保証ではありません。

昇降に使っている電動ウインチです。三相の電源工事が要らず、作業場のコンセントでそのまま使えるのが決め手でした。ただし、この製品の能力がそのまま設備全体の限界になるわけではありません。鉄骨・単管・クランプ・吊り具を含めた系全体で考えてください。

Hoist / 昇降に使用

三方良し【改良版】家庭用 電動ウインチ 100V ホイスト 吊り上げ 最大能力400kg

AC100V電源工事不要手元スイッチ

このホイストで上下動を担っている部分です。100Vで動くので、作業場のコンセントに挿すだけで使えます。三相電源の工事が要らないのは、自作でやるうえでかなり大きい条件でした。

製品に表示されている能力は、あくまでウインチ単体の値です。実際に何を吊れるかは、それを支える鉄骨・単管・クランプ・チェーン・フックを含めた全体で決まります。一番弱いところが限界になるので、ウインチの数字だけを見て判断しないでください。

使用前のワイヤーの点検と、巻き取りの偏りの確認は毎回やっています。

使っているウインチを見てみるAMAZON →
使用中
100V

※ 商品リンクにはAmazonアソシエイトリンクを利用しています。Amazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。掲載の能力表示は製品の仕様であり、本ページの設備で同じ荷重を保証するものではありません。

気をつけたこと

Point 01

たわみ対策の補強

単管を1本渡しただけでは、中央にかかる荷重で曲がる方向に力が集中します。追加の単管を入れて、力を分散させる組み方にしています。見た目より、ここが一番気を使った部分です。

Point 02

クランプの締めと点検

単管の利点は組み替えられること。裏を返せば緩めば外れるということです。使う前に必ず増し締めを確認します。振動と使用回数で必ず緩んできます。

Point 03

ワイヤーとチェーンの掛かり方

巻き取りが偏ると、ドラムの端に寄って傷みます。掛ける位置が悪ければ荷が傾く。吊る前に少しだけテンションを掛けて、掛かり方を目で確かめるのを毎回やっています。

第 4 章

実際の作業手順

慣れれば一連の流れです。ただしSTEP 4を飛ばさないことだけは、毎回自分に言い聞かせています。

01

軽トラをホイストの下へバックで入れる

ぴったり合わせる必要はありません。だいたいの位置で止めます。

02

ウインチを動かして位置を合わせる

車を切り返すのではなく、ウインチを前後左右に手で動かして吊り位置を合わせます。

03

荷台へチェーンを掛ける

掛ける位置で荷の傾き方が変わります。左右のバランスを見ながら掛けます。

04

少しだけテンションを掛けて確認する

ここが一番大事な工程です。まだ浮かせない程度に張って、掛かり方・バランス・チェーンの向きを目で確かめます。異常があればここで気づけます。

05

ゆっくり持ち上げる

一気に上げません。荷が動き出す瞬間に、傾きや引っかかりが出ます。

06

荷台が車体から離れる

全体が均等に浮いているか、この段階でもう一度確認します。

07

軽トラだけを前へ移動する

吊っている荷の下と進行方向には、絶対に入りません。

08

荷台だけが吊られた状態になる

ここまでで完了です。あとは降ろす場所へ位置を合わせて下ろします。

⚠ 重量物の吊り上げには重大な事故の危険があります

このページはアトムテックが自分の作業場で製作・使用している自作設備の実例紹介です。同じ構造・材料で同じ荷重に耐えられることを保証するものではありません。

  • 吊っている荷の下、進行方向、チェーンの延長線上には絶対に入らない
  • 人を吊る・人が乗る用途には絶対に使わない
  • 設備・構造物・ウインチ・吊り具それぞれの許容荷重と使用条件を確認する
  • ワイヤー・チェーン・フックの摩耗や変形を使用前に点検する
  • クランプの緩み、支柱の水平・垂直、接地面の状態を確認する

実施される場合は、安全を確保したうえで自己責任でお願いします。

Video

実際に荷台を1人で降ろす様子

文章と図では伝わらないのが、荷が動き出す瞬間の速度と音です。そこを見てもらうのが一番早いと思います。

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